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一から始める知財戦略

知的財産全般について言及します。

AI関連発明のシンポジウム雑感

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 久々のシンポジウムということで、「国際特許審査実務シンポジウム―AI関連発明のグローバルな権利取得に向けて―」に参加してきました。  まぁ例のごとくのAIネタですが、昨年の事例集あたりから特許庁も本腰を入れてきている感じですね。他国もやはり同様のようで、各国の審査については、ある程度共通の見解が確立されてきたのかなという印象は持ちました。

 割と話題になった学習済みモデルのクレームですが、やはり日本以外は中々難しそうですね。プログラムも各国万能とは言えませんし、やはり情報処理装置(デバイス)記載が安定かな。質問としても出ていましたが権利行使の時にどうなるかも分かりませんからね。

 いずれにせよ、明細書の中をある程度固めておけば、修正である程度対応できるレベルだとは思うので、結局は、明細書にどこまできちんと記載を行うかという話になりそうです。少なくとも、細かいロジックの部分で特許権を取得したいのであれば、従来のソフトウェアの明細書よりは若干詳細は必要になると思うのですが、実際どの程度の記載で内部ロジックのクレームを認めるかについては、審査官によってもかなり幅がありそうという印象です。個人的には、内部ロジックの特許権は原則あまり勧めない方向で対応するので、大きな変化はありませんが、出願する場合には、悩ましいですね。  また、今回は、通常の本会場とは別にサテライト会場と言うものが用意されていました。私はサテライト会場で聴講していたのですが、作業スペースは確保できるし、イスは座り易いし、非常に快適でした(ただし、日本語のみ+質問不可)。

 ただし、特許庁主催のシンポジウムなので当然といえば当然なのですが、やはり(企業を含む)実務的な話についてはほとんどありませんでした。実際、AIの場合は、応用領域でこそ知財が活きるのは明らかですし、色々考えなければならないことがありますね。一応、1月末にセミナーをAIネタで講演をする機会を頂けるようなので、そこで少し実務的な方法論や戦略論についての新しいネタを披露できればなぁと思っています。取り敢えず、今日はこの辺で。