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一から始める知財戦略

知的財産全般について言及します。

書籍紹介:ガイドブック AI・データビジネスの契約実務(商事法務)

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1.はじめに

 例のごとく、久々のブログ更新です。もう少し更新の頻度を上げたいと思いつつ、在宅勤務が続くこの状況では、やはり本業優先という感じでしょうか。

 まぁ今回の内容に関しては、(予想通り)ボリュームがかなりあったので読むのに時間がかかってしまったという点もありました。なお、田村先生の『知財の理論』も既に読み終わっているのですが、まだまだ自分の思考がまとまっていない状況なので、取りあえずは保留しています。

 今回ご紹介する書籍は、

 ガイドブック AI・データビジネスの契約実務(商事法務) (著)齊藤友紀・内田誠・尾城亮輔・松下外

 こちらの書籍は経済産業省のAI・データ契約ガイドラインの4人が執筆した書籍ということで、かなり楽しみにしていました。夫々の執筆者から執筆状況や簡単な内容については耳に入ってきてはいたものの、やはり実際に本を手に取ってみると、また違った心境になります。さてはて、どのような内容にまとまっているのでしょうか。

2.感想

 所要時間:10時間~20時間程度

 ターゲット:データビジネスを扱う企業の弁護士(法務担当者)

 満足度:4/5

 感想:(予想通り)極めて実務的かつ、実践的なノウハウの塊と言い切ってしまって、良いでしょう。

 特に前半部(特に2章の秘密保持契約など)に関しては、知識を習得させるという目的ではなく、それにより議論が起こることを期待しているような、極めて高度でセンシティブな内容です。書籍というよりは、論文に近い内容のように思います。その意味では、例えば一人法務のような組織内で唯一の法律的な(契約上の)意思決定を行わなければならない立場の人にしてみれば、リスクヘッジや責任を含めた極めて実践的な対応を検討する上での示唆を与えてくれる可能性は極めて高そうです。

 一方で、後半部(特に6章のプライバシーポリシーなど)に関しては、比較的ベーシックな内容な記載となっています。この部分を勉強したいなら別の本を読めというメッセージでしょうか。上述のガイドラインもそうでしたが厚い本はやはり読みずらいですからね・・・。という訳で、どこまで本を薄くしたいという意図が反映されているかは分かりませんが、本文のみで180ページ程度と『比較的』読みやすい分量でした(ここは少し意外でした)。

 いずれにせよ、期待通りの良著であり、特にデータビジネスの契約担当者にはオススメできる内容でした。気になる方はぜひ手に取って見てください。

3.まとめ

 在宅勤務の中、時間がいつもよりあるはずなのですが、なぜこのような更新頻度なのか・・・。次回はもう少し早く更新するつもりでいます。

 さて、このような状況の中、7月下旬のセミナーに登壇させていただくことになりました。

内容はやはりAI絡みの話にはなりそうですが、基本的には『知財戦略』のような少しマクロ的なテーマにしようと考えています。普段権利化を扱っていると、どうしても出願や権利化のテーマになってしまうので、戦略レベルの話は久しぶりです。正直、7月下旬だと実際に実施できるかどうか、かなり微妙な気がしますが、せっかくの機会なので、何かしらの形では社会に公表しようと思っていますので、お楽しみに。それではまた。