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一から始める知財戦略

知的財産全般について言及します。

「裏・法務系アドベントカレンダー2020」エントリー企画 独立一期目を終えて感じる課題と成果 ~大規模事務所から一人事務所への変化を中心に~ 

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1.はじめに

 お久しぶりです。約2カ月ぶりのブログ更新ということで、「裏・法務系アドベントカレンダー2020」へのエントリー企画となります。のん@仕事が楽しい社会人7年目さんからの引継ぎとなります。

 本当にこのような企画でもないとブログ書くのはしんどいですね。まぁ本業が忙しいので仕方がないということにしておきましょう。

 

 さて、今回アドベントカレンダーにエントリーするにあたり、

 ・独立開業時に必要な準備作業のまとめ

 ・組織における知財機能とは何か

 ・判例整理(特許権の消尽)などなど、、、

 いくつかテーマを考えたのですが、ちょうど新事務所設立(2019年12月16日)から1年が経過したということで、やはり新事務所に絡むテーマを選ぶことにしました。

 という訳でテーマは、「独立一期目を終えて感じる課題と成果~大規模事務所から一人事務所への変化を中心に~」です。知財クラスタ・法務クラスタ問わず独立して活動されている方は数多くいらっしゃるのですが、元々中小規模の事務所から独立されていることが多く、大手の事務所や企業(企業出身は比較的いるかも)の方は結構少ないのではないかと感じています。まぁ大手の事務所の場合、業務が分業化されていて独立に適したスキルが身に付きにくかったり、そもそも待遇が良く独立の必要がなかったり、ある意味当然と言えば当然かもしれません。

 そこで今回は、『組織の大きさ』という観点を軸として、私自身の今年一年の活動で得られた知見や課題を簡単にご紹介したいと思います。ちなみに現在の事務所は、いわゆる一人事務所(弁理士1名)ですが、事務作業等を行ってくれている所員はいますし、事務作業の外注等も利用しているため、『事務作業が大変!』ということは特にありません。むしろ余計なやり取りがない分、雑務は少ないと言えるかも、何れにせよ、作業効率は大事です。

 

2.『自由と裁量』

 何より大きい『自由と裁量』と言うことで、やはり『自由』です。事務所運営の方向性や顧客の選択等で基本的に横やりが入りません。これは大きいですね。

 例えば、私の場合、創業時に事務所の書類等を全てオンライン管理するような環境を整えているのですが、これだけでも多くの特許事務所(特に大手)であれば、どれだけ時間と労力がかかるのか想像もつきません。心折れるでしょうね、間違いなく。まぁただここら辺は企業の方は感性の高い方が多い気はするので、法律事務所や特許事務所特有の問題かも知れません。

 そして、これ以上に大きいのが、クライアントへの対応方針です。これが自由だと、こうもストレスが減るもんなんですね(正直な感想)。例えば、クライアントからの要望や提案に対して柔軟に対応ができたり、自由に公益業務(採算の取れない業務)を受けることができます。まぁ実は、前職の事務所もかなり先進的な事務所(一般的な特許事務所と比べると圧倒的に自由で裁量はあると思います)でしたので、それなりに自由にはやらせて貰っていたのですが、『そうは言っても』ということですね。

 その意味では、自分も組織に所属していることで、無意識にハードルを上げてしまい可能性を制限してしまっていたという側面もあるのかもしれません。このようなハードルをうまく制御できる人間が大きな組織でも存在感を発揮するのでしょうねー。

 

3.『業務範囲』

 ただ一方で感じるのが、対応できる業務の幅がどうしても狭くなるという点です。まぁそもそも受任する依頼の内容も狭くなるのが通常でしょうし、やむを得ないと言えばやむを得ないと思います。前職では、意匠や商標は勿論、金融や会計の専門家なども多数在籍しており、彼らと連携を取りながら様々な案件に関与することができました(これがまさに大手の強みでしょう、いろんな意味で)。

 これに対抗するためには、『専門家間のネットワークを作り、連携を取る』と言うのが常套手段な訳ですが、これが中々難しいですね。そもそも信頼出来て日常的にコミュニケーションを取れる他の専門家を探すこと自体が難しいですし、それぞれが利害関係を有しているためそう簡単にはいきません。ただ本当の意味で価値のある支援を行うためにも実行していきたいですね、できるだけ。来年の私自身の課題の一つだと思っています。

 

4.社外専門家の限界

 また前職と現職に共通の課題ですが、やはり難しいと思うのが『社外専門家としての支援の難しさ』です。この領域で活躍されている方とはもう少しディスカッションを広げていきたいとは思いつつ、中々、実現してはいません。私自身も、来年からとあるスタートアップ企業で(かなり社内に近い立場で)知財機能の立ち上げに従事することが決まっています。新たな挑戦として何とか成功させたいところです。

 

5.終わりに

 以上、今年一年のフィードバックと来年への抱負などを簡単にまとめてみました。如何だったでしょうか。

 ありがたいことに一年間多くの依頼をいただきまして、事務所の経営状況は極めて良好です。出願等のメイン業務だけでもかなりの量になっていますので、本当にそろそろ実務のサポートをお願いできる方を採用しないとまずい状況になりつつあります。良い方がいれば是非ご紹介ください。

 

 さて『裏(表)・法務系アドベントカレンダー2020』は、まだまだ続きます。

 当ブログから法務系アドベントカレンダーを知った方は、是非、他の法務系のエントリー記事を見てみてください。法務担当者のリアルな声を聞ける貴重な機会です。

 また、法務系アドベントカレンダーから当ブログを知った方は、是非、知財系の他の記事(知財系のアドベントカレンダーも走っています)を見てみてください。普段と異なる切り口で法律と向き合う機会になるかもしれません。それではまた!