このエントリーをはてなブックマークに追加

一から始める知財戦略

知的財産全般について言及します。

知財業界への本音は?!(裏 法務系アドベンドカレンダー企画)

<本編>

本日は、昨日のちくわさんからの引き継ぎで、裏法務アドベントカレンダーへのエントリー企画です。色々と考えましたが、特許技術者の方をお呼びして、特許事務所の仕事について対談形式のインタビュー企画を行うことにしました。

まずは1人目、Yさんです(30代前半男性)。前職では物理学科の博士課程(後期)に在籍していたそうです。現在は主にソフトウェア分野の明細書や中間処理を担当し、実務経験は2年程です。 続いて、2人目、Nさんです(30代前半男性)。前職では製薬会社に在籍していたそうです。現在は、主に化学分野の知財DD、例えば、特許情報に基づいた新規用途の探索や新規事業の提案などの業務を担当し、実務経験は1年程です。

お二人とも、前職時代に一緒に働いていた若手の特許技術者の方々なのですが、本日は快くインタビューに応じて頂きました。本日は、よろしくお願いします。

Yです。よろしくお願いします!

Nです。よろしくお願いします!

まずはお二人とも、大学院や企業で研究開発職(非知財部)からの転職をされています。実際に知財業界に飛び込んで、驚いたことや違和感があったことを教えてください。

人事組織体制が自由で上下関係などがあまり無く驚きました。企業にいた時は、上下関係や業務の進め方についても制限がかなりありましたが、特許事務所ではかなり裁量が与えられるので、それが驚きでした。

なるほど。事務所の特性にもよりますが、特許技術者は基本的に個人で仕事をすることが多いので、裁量が広いのは業界の特性かも知れませんね。Yさんはどうですか?

平均年齢の高さに驚きました。今の事務所でも、私がほぼ最年少という感じなので驚きました。

これも業界の特徴の一つですね。若い人が知財業界に興味を持つためにも、知財業界の面白さを伝えていく必要があるかも知れません。お二人が思う知財業界の面白い所はどんなところですか?

様々な技術的に異なる案件を担当することで色々な知識を吸収することができて楽しいです。非常に勉強になります!

特に大学等の案件で感じることが多いのですが、自分の専門領域に近い領域の深い話を知ることができるのでやはり刺激になります。また、明細書の作成は、一種の芸術品のような側面があるため、自分のスキルが向上が実感できた時はやはり嬉しいです。

なるほど。企業の知財部では若干異なるかも知れないけど、少なくとも特許事務所であれば、様々な技術と密に接触することが出来るというのは、面白さの一つかも知れません。また、いわゆる弁理士の専権業務には芸術品のような側面がありますから自分のスキル向上を意識しやすいかも知れません。法務的に言えば、例えば、訴状なども似たような性質があるかもしれませんね。 では逆に、普段の業務や業界特有の事情で難しいことや困難だということはありますか。

用語や単語の使い方難しいと感じます。大学院でも、用語や単語の使い方には気をつけていたつもりだっですが、やはり明細書を書く場合にはまた違った難しさがあるので、苦労しています。また、弁理士の試験も含めて法律知識も必要ですから、この点についてもかなりとっつきにくい部分がありました。

確かに弁理士や特許技術者にとって用語や単語の使い方は非常に重要ですね。また特許事務所にライセンスを持たずに転職すると、仕事と試験の両立は非常に難しいですね。 では最後に、今後業界に転職するかも知れない方々に向けて、お二人からメッセージがあればお願いします。

色々な意味で自由度が高く、手を挙げればやりたい仕事ができるという風土が知財業界の良いところだと思います。仕事を取りに行く積極性や自分の商品価値を高める自己研鑽等が苦にならないという方は、是非、この業界にチャレンジしてみてください。

知財業界に興味を持つ人の中には、技術が好きな人が少なく無いと思います。一般的な技術はもちろん好きですし、日本語の作文や法律文書の書き方等も技術と言えると思います。最初は大変かも知れませんが、技術を身に付けるのが好きなら大丈夫です。分野の違いを恐れずに調整してほしいと思います。

2人とも無駄にハードルを上げないでください!Yさん、Nさん、本日は本当にありがとうございました。

<オマケ>

さて、今回は法務アドベントカレンダーへの参加企画です。若干アイコンと内容があってない気もしますが、そこは目をつぶっていただければ。 趣旨としては、多くの方(特に法務の方)にも特許事務所の現状や、特に(ほとんど実在しない)若手の特許技術者の生の声をお届けしたいと思い、今回の企画を実施しました。知財(特に特許事務所)の仕事に興味を持った方は是非とも業界への参入を考えてみては如何でしょうか。それでは。