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一から始める知財戦略

知的財産全般について言及します。

イベント(AI vs 弁理士)に参加してきました!

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 という訳で、「AI vs 弁理士」のイベントに参加してきました。

prtimes.jp

<概要>

 

 SNSでの宣伝活動もあってか、会場はほぼ満員でした。何より驚いたのは知財関係者以外もそれなりに来ているようで、私の席の周辺では知財関係者の方が少ないという感じでした。色々思うところはあるものの、全体的にイベントとしてうまくまとまっていた印象です。チケットの料金は2500円+ワンドリと比較的高額設定だったものの、場所や演出の凝り方を考えるとやむを得ないかなぁという感じです。Toreruさんは、今後もこういう方向で行くのかな?まっ流行る理由は分かりました。

<レポート>

 

(1)画像商標対決(出演:中村先生)

 「実際に出題された商標画像1つに対し、最も似ている画像を見つけてくる(制限時間10分)。特許庁の審査官が似ていると判断した画像が含まれていれば勝利。(公式より)」

 まずは、中村先生が素晴らしかった。制限時間内にちゃっと正解を拾ってくるということで、あれを外してたらイベントの盛り上がり大分違いましたよね。さて、それはそうとAI側のアプローチです。AI側のアプローチは、課題の画像から候補画像を絞って、エンジニアの方がその中から正解を選べるかというアプローチを取っていました。解説の土野先生も指摘されていましたが、このエンジニアによる選別(敢えて宮崎先生はアドバイスしない)の場面で迷ってしまい、正解にたどり着けなかったようです。候補画像の画像の中に正解の画像は(多分)含まれていたと思うので、実は最終的な絞り込みさえできていれば、AI側の圧勝で終わっていたというような話があったりします。逆に言えば、最終的な絞り込みは人間が行うことを前提として設計されているようですので、その点、使いにくいかも知れませんね(まぁ精度出せてないんでしょう)。ただし、候補の絞り込みまでは非常に早く、多分正解も拾えてるので一次スクリーニングには十分耐えているのかなという印象でした。

 結果:中村先生勝利

(2)類否判断対決(出演:瀬戸先生)

 「実際に出題された商標2つ提示し、それが似ているかどうか(類否)を判断する。(お題10問、制限時間10問)

 まずは、会場参加型にしたの大成功でしたね。非常に盛り上がっていました。

 本題に入ると、こちらのお題は、1問1分ということで弁理士側は、ほぼ直感で答えざるを得なかったと思います。なので、弁理士側がある程度時間をかけられる状況(類似商標や判例の確認ができれば)であれば、正答率は結構変わったでしょう。この状況であれば、一般的な弁理士であっても、商標弁理士であっても、弁理士でなくても、結果にそこまでの差は出ないでしょう(結果を知っていれば別ですが)。

 なお、AI側は、(多分)称呼のみで類否判断を行っているということでした。

 結果は、瀬戸先生が7問正解に対して、AI側が6問正解ということで、弁理士側の勝利ということでした。なお、宮崎先生いわく、大体精度は60%という話でしたので、AI側としては十分満足のいく結果と言うことでした。まあ、十分な精度でしょうね。周りの席の方(弁理士を含む)も大体5~7問くらいの正解の方が多く、基本的には人の判断(直感レベル)と同レベルの精度は出ているという印象を受けました。単に担当者がこの商標通るか分かりませんと進言するよりも、AIのスコアでも持って行って通るかわからないと進言した方が効果的と言うような使い方はあるかもしれません。

(3)識別力対決(出演:岡村先生)

 「実際に出題された商標とその商品・サービスを提示し、特徴があるかどうか(識別力)を判断する。(お題10問、制限時間10分)」

 これはもはやカオスでしたね。制限時間が少ないのも相まって、自身があった人は、ほとんどいないんじゃないですかね。なお、今回の「正解」はあくまでも、ファーストアクションで拒絶理由通知が来るかどうかということらしく、最終的に商標登録が認められたかという話ではないようでした。解説の土野先生も指摘されていましたが、この点も弁理士としてはやりずらい理由ではあったかと思います。

 

<雑感>

 

 一次スクリーニング用のサポートツールとしては、十分機能するという印象を持ちました。実際このツールをどう使うかはtoreruさん次第ですが割とアドバンテージになる気がします(使い方はかなり難しいですが)。少なくとも商標出願業務自体は、差別化が相当難しいですからね。あとデモンストレーションとしては、普通に使えますね。

 以下、気になった点を2つ。どこまで汎用的に使えるのかな?という話です。

 ①お題自体が元ネタは実際の出願なので、トレーニングデータに含まれているような気がする。とすればバイアス若干かかっている気がしなくもない。②出題が25類に偏っていた。類によっては精度出ないとかあったりするのでは?と思わなくもない。まあいずれも誤差レベルだとは思いますが、、、、

 

*記事に間違えがあれば修正するので、お気軽にお知らせください。聞き間違えとか。