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一から始める知財戦略

知的財産全般について言及します。

特許業界で話題のIPランドスケープ?

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1.はじめに

 

 最近、「IPランドスケープ」という言葉を知財業界でよく耳にするようになりました。グーグル検索をかけて見てもかなりヒットするんですね、驚きました。昔(今も)Orbit(Questel社)というソフトウェアで作成できるパテントマップの一つにランドスケープマップというものがあったのでそれが元になっているのかなぁと思っていたのですがどうも違うようですね。少し気になったので、状況を確認してみることにしました。

 

2.IPランドスケープの商標権

 

 まず、この「IPランドスケープ」ですが実は商標権が取得されています。

当事務所が保有する「IPランドスケープ」の商標権の使用許諾について(方針の再確認) | ニュースリリース | 正林国際特許商標事務所

 商標権者は正林国際特許商標事務所(名義は正林先生個人のようです)ということで、はい、私の古巣ですね(笑)。実は、在籍当初から商標権を取得したという話ぐらいは聞いていたのですが、いう経緯で出願に至ったのか、どのように商標権を使うつもりなのか等は全く知りません。そのため、このブログの内容には、そういった内部事情は一切考慮されていません。200人を超える巨大組織ですから、まぁそんなものかなとご容赦いただければ幸いです。

 

3.結局、IPランドスケープって何?

 

 日経新聞によれば、Intellectual Property Landscape=知財に関する環境と見通し」であり、近年、急速に欧米企業が使い始めた知財分析手法と、同手法を活かした知財重視の経営戦略と紹介されているようです。

 また、特許庁により最近発表された「知財人材スキル標準ver2.0」においても色々と考え方が示されていますので、下にリンクを貼っておきます。ただ、どれも具体的ではないですね。従来のパテントマップを用いた経営戦略の構築やDDと何が違うのかはイマイチよく分かりません。

知財人材スキル標準(version 2.0) | 経済産業省 特許庁

 この点、野崎篤志氏がブログで既に検討されていたようでしたので、リンクを張っておきます。かなり詳細に検討されており、何となく背景は見えてきました。

第4回 IPランドスケープとパテントマップは違うのか?|IPランドスケープ、知財情報分析・・・ | e-Patent Blog | 知財情報コンサルタント・野崎篤志のブログ

 全体的に同意できる部分が多く、私が特に何かを付け加える意味はなさそうです。少なくとも、厳密な定義に基づいて使用されている感じではないですね。「AI」の時と似た気持ち悪さがあります。私が使用する時には、基本的にパテントマップという単語を使っていきたいと思います(当面は)。

 実際は、言葉自体はどうでもいい話であり、IPランドスケープとされる方法論自体が真に従来のパテントマップを用いた解析と異なるものなのか(それだけ価値のあるものが提供できるのかどうか)が重要だと思うのですが、どうでしょうね。個人的な感想としては、(勿論進歩はしているものの)特に新しいと言えるものでもないかなというのが正直な感想です。

 ただし、言葉自体の意味はともかく、特許情報を経営戦略に活かすという考え方自体は、非常に大切です。パテントマップの利用方法や考え方については、別の機会に説明しようとは思っているので、興味がある方はそちらもご覧いただければと思います。

 なお、弁理士の方であれば、「弁理士業務標準(第11版)」の中に私(を含めた業務標準委員会)の記載したパテントマップの記事が無料で読めると思いますので、参考にしていただければと思います。

 

*あくまでも全て個人的見解です。